フリーランスで行う仕事として大多数の人がすぐに思いつくのはIT関連や物販(セールス)だと思います。
ただ、ちょっと待って下さい。
これから需要が爆上がりする業界はまだたくさんあります。その中でも、単価は決して安くなく、需要はこれからますます上がる業界である「溶接士」のフリーランスの働き方に注目します。
この記事は私が本職の工場で関わる業者様方と関わって聞いた事や知った事をもとに載せています。
なりたがる人が極端にいない業界「溶接士」
溶接士の業界は、言うまでもなく、人手不足です。少なくとも10年近くはこの状態が続いており、人手不足が常態化してしまっているのが現状です。根本的に幼い頃からよほどの機械いじりが好きでも無い限り、溶接士になりたがる若い人はいません。
若い人が溶接士に魅力に感じないのはなぜか?
溶接士が行う作業はいわゆる3k職場(きたない、きつい、きけん)に該当する為、憧れる職業になりづらく、なかなか溶接士のメリットや社会貢献を取り上げるメディアがこれまで無かったのが原因です。
おまけに職人気質が強い為、まだまだ下手くそだなぁ、なんて言われながら2,3年間は実務経験を重ねる必要があり、なかなか若い人が集まらない業界です。下積みが長い業界のイメージがまだ残っています。
ビジネスモデルが変わる?
この2,3年で業務委託(日雇含む)の制度が整い、個人事業で溶接士として働きやすくなりました。さらに、高齢化による人材不足に拍車がかかり、製造業界全体では、溶接士を雇わず、外注する企業が主体になっています。特に工場を持たず現場に溶接機を持って作業出来る人材は、ロボットなどの自動化ができない為、どんな現場でも重宝されます。
とにかく溶接士の需要が高いので、最近ではSNSで現場監督とのつながりを通じて仕事依頼が自由に出来る様にしている監督さんもいます。経験浅い溶接士でも仕事のチャンスは多くあります。
フリーランスの溶接士にとって条件は、かなり良くなってきています。
フリーランスは個人戦ではなくチーム戦
溶接士の報酬のほとんどのケースは、請け負い報酬です。つまり複数の仕事を同時進行させる事で利益が倍増します。しかし、現場での溶接仕事の場合、基本的に1日拘束されるので、現場の掛け持ちが出来るかどうかで稼ぎが大きく変わります。
では、フリーランスで稼ぐ為にはどうしたら良いのか?
答えは「現場監督にメリットがあるチームを誘致出来ること」です。
ある工事を例にしてみます。
ある依頼主がとある建設会社に工場の改造工事一式の見積もりを依頼したとします。その建設会社の社員Aは、現場監督として、工事の計画から携わる事になりました。その社員Aはここからどのように工事計画を進めるでしょうか?
監督(ディレクター)は、まずチームメンバーを選ぶ事から始まる。
まず社員Aは、これまでのつながりで溶接工、配管工、とび職などの各分野でいったい誰に依頼するのがいいのかを考えます。
その時に2人の溶接工がその社員Aの頭に浮かびました。一人は、「フリーランスでかなりすごい腕の立つ職人溶接工B」ともう一人は「溶接士としては波程度の腕前ではあるが民間の検査業者や配管施工会社とのつながりが強く、すぐに人が集められるフリーランス溶接工C」です。
この2人を比較すると溶接スキルは溶接士Bの方が高いのですが、ほぼ間違いなくその社員Aは溶接工Cに工事依頼をしたいはずです。なぜなら社員Aにとって必要な事は、高い品質で溶接してもらう事ではなく、効率良く自身の仕事を処理することなのです。
言い換えると社員Aが、溶接士Cに依頼すれば、他にも検査員や配管施工業者を探し回る手間が省けると言ったメリットが生まれます。
そして、溶接士Cは、自身のつながりで他のメンバーから仕事の紹介を受ける事も出来る為、案件探しに労力がかかりません。
つまり、溶接士Cはその業界内での自分の繋がり方(影響力)そのものが商品の一部になり、案件獲得に繋がっているということを理解しています。
そんなフリーランスの溶接士に共通しているのは①サービス精神が高い、②責任感が強いです。この2つがやたら高くなる理由は、この後の失敗するケースの中で説明します。
フリーランスで失敗する理由
①オプションや特典をつけてしまう
これはむしろつけたほうがいいだろ!と思う人もいるかもしれません。しかし、そういう人は気をつけて下さい。フリーランス溶接士がオプションや特典を付けた場合、現場監督にとっては、依頼側への責任の押し付け行為としか捉えられません。
その理由は、オプションを付ける行為はまるで「全力投球すればすごくいいサービスですが、手抜きで良ければ安くします。」と言っているのと同じ事です。さらに、そのオプションを付けないことで失敗してもオプションを選んだ依頼側の責任になるのです。なのでオプションや特典は、敢えて言わずに「それもサービスのうちです」と言って対応するのが一番現場監督への印象が良くなり、次の仕事にもつながります。
オプションや特典は個人の駆け出しフリーランスが行うべきではない。
②依頼側が必ず得する様にしていない
相手にすぐに選択肢を投げかけてしまう人は注意です。選択肢によっては依頼側が損をしてしまう様な質問をしてしまう人は、「責任逃れしている人」として依頼者から見られてしまいます。これも人によってはむしろいい事だと言う人もいるかもしれませんが、まだ信頼を得ていないフリーランスの人がこういう質問ばかりをしてしまうと、信頼関係は得られませんので注意が必要です。