Pythonにおける変数とデータ型の基本的な概念を理解することは、プログラミングの基礎を築くために重要です。このページでは、変数の宣言方法と代表的なデータ型について詳しく説明します。
1.2.1 変数とは?
変数は、データを保存するための名前付きの場所です。Pythonでは、変数に値を割り当てることで、その値をメモリ内に格納します。変数名は英数字やアンダースコアで始めることができ、予約語を使用することはできません。
例(変数の宣言と割り当て):
python
x = 10 name = "Alice"
1.2.2 変数の命名規則
Pythonの変数名を付ける際には、いくつかのルールと慣習に従うことが推奨されます。
ルール:
変数名は英数字(a-z, A-Z, 0-9)とアンダースコア(_)を含むことができます。
変数名は数字で始めることができません。
予約語(if, else, for, while など)は変数名に使用できません。
慣習:
一般的に、変数名は小文字で書き、単語間をアンダースコアで区切ります(例: user_name
)。
定数は全て大文字で書き、単語間をアンダースコアで区切ります(例: MAX_SIZE
)。
1.2.3 基本データ型
Pythonには、いくつかの基本的なデータ型があります。これらのデータ型は、数値、文字列、ブール値など、さまざまな種類のデータを扱うために使用されます。
整数型(int):
整数を表すデータ型です。
例(整数の宣言):
age = 25
浮動小数点型(float):
小数点を含む数値を表します。
例(浮動小数点数の宣言):
price = 19.99
文字列型(str):
文字列を表すデータ型です。シングルクォートまたはダブルクォートで囲んで表記します。
例(文字列の宣言):
greeting = "Hello, World!"
ブール型(bool):
真偽値(True または False)を表します。
例(ブール値の宣言):
is_active = True
None型:
値が存在しないことを示します。
例(Noneの宣言):
result = None
1.2.4 型変換
Pythonでは、データ型を相互に変換することができます。これを「型変換」と呼びます。
暗黙的型変換:
Pythonが自動的にデータ型を変換します。
例(暗黙的型変換):
x = 10 # int
y = 2.5 # float
result = x + y # float: 12.5
明示的型変換:
開発者が明示的にデータ型を変換します。
例(明示的型変換):
x = 10 # int
y = "25" # str
result = x + int(y) # int: 35
1.2.5 数値型の操作
Pythonでは、数値型に対してさまざまな操作を行うことができます。
算術演算子:
加算: +
例(加算演算子の使用):
result = 10 + 5 # 15
減算: -
例(減算演算子の使用):
result = 10 - 5 # 5
乗算: *
例(乗算演算子の使用):
result = 10 * 5 # 50
除算: /
例(除算演算子の使用):
result = 10 / 5 # 2.0
整数除算: //
例(整数除算演算子の使用):
result = 10 // 3 # 3
剰余: %
例(剰余演算子の使用):
result = 10 % 3 # 1
累乗: **
例(累乗演算子の使用):
result = 2 ** 3 # 8
組み込み関数:
絶対値: abs()
例(絶対値関数の使用):
result = abs(-10) # 10
最大値: max()
例(最大値関数の使用):
result = max(10, 20, 30) # 30
最小値: min()
例(最小値関数の使用):
result = min(10, 20, 30) # 10
丸め: round()
例(丸め関数の使用):
result = round(2.567, 1) # 2.6
1.2.6 文字列の操作
Pythonの文字列型には、多くの便利な操作方法があります。
連結:
+
演算子を使用して文字列を連結します。
例(文字列の連結):
greeting = "Hello" + " " + "World!"
繰り返し:
*
演算子を使用して文字列を繰り返します。
例(文字列の繰り返し):
repeated = "Hello! " * 3
文字列の長さ:
len()
関数を使用して文字列の長さを取得します。
例(文字列の長さの取得):
length = len("Hello")
部分文字列の取得(スライス):
[]
を使用して文字列の一部を取得します。
例(文字列のスライス):
substring = "Hello, World!"[0:5] # "Hello"
文字列の検索:
in
キーワードを使用して文字列内の部分文字列を検索します。
例(文字列の検索):
found = "World" in "Hello, World!" # True
文字列の置換:
replace()
メソッドを使用して文字列を置換します。
例(文字列の置換):
new_string = "Hello, World!".replace("World", "Python")
1.2.7 ブール型と条件分岐
ブール型は、条件分岐において非常に重要な役割を果たします。
1.ブール演算子:
AND: 「and」
例(AND演算子の使用):
result = True and False # False
OR: 「or」
例(OR演算子の使用):
result = True or False # True
NOT: 「not」
例(NOT演算子の使用):
result = not True # False
2.条件式:
「if
」:ステートメントを使用して条件に基づくコードの実行を制御します。
例(基本的な条件分岐):
age = 20
if age >= 18:
print("Adult")
else:
print("Minor")
複数の条件:
例(複数条件の使用):
score = 85
if score >= 90:
print("Grade A")
elif score >= 80:
print("Grade B")
elif score >= 70:
print("Grade C")
else:
print("Grade D")
1.2.8 None型の利用
None型は、値が存在しないことを明示的に示すために使用されます。
Noneのチェック:
「is」
演算子を使用してNoneであるかをチェックします。
例(Noneのチェック):
result = None
if result is None:
print("No result")
else:
print("Result exists")
Noneの割り当て:
初期値やリセットとして使用されます。
例(Noneの割り当て):
value = None
1.2.9 データ型の確認
type()
関数を使用して、変数のデータ型を確認することができます。
例(データ型の確認):
x = 10
print(type(x)) # <class 'int'>
y = "Hello"
print(type(y)) # <class 'str'>
1.2.10 まとめと次のステップ
このセクションでは、Pythonの基本的な変数とデータ型について学びました。次のステップとして、リスト、タプル、辞書など、Pythonでよく使用される複合データ型について学びます。これらのデータ構造を理解することで、データの管理と操作がより効率的に行えるようになります。
次のステップとして、リスト、タプル、辞書を学びます。詳細は「1.3 リスト、タプル、辞書」をご覧ください。